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状況証拠をみるかぎり日本人はからだの栄養状態が低下するリスクが高まっているといえます。毎年発表される簡易生命表にみられるように75歳以上高齢者の肺炎死亡確率が増加し続けているのはそのためです。
今,からだの栄養状態を良好にすることが如何に大切なことなのか,もう一度見直さなければならない時期に来ているのではないでしょうか? |
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| まずはじめが「成長(0〜20歳ごろ)」のステージ,次が「成熟・安定(20〜50歳ごろ)」のステージ,最後が「老化(50歳以降)」のステージです。「成長」ステージは良好な栄養状態を維持増進して筋骨に負荷をかけ頑丈な心身を築きあげるステージです。成長期の集団に“生活習慣病が芽生えている”などと不用意な警鐘を鳴らし食生活を萎縮させるプロモーションはとても危険なことです。「成熟・安定」のステージは病気の予防が健康づくりの主な目的になりますが,このステージの人々の間では「メタボ対策」に象徴されるように「食を制限する」情報が跋扈(ばっこ)しています。さて,ここで大変興味深い科学データを紹介しましょう。図1は,40歳以降の各年齢で血清総コレステロールが1mg/dL上がると総死亡率が何パーセント変化するのか示しています。なぜ,総死亡リスクとの関係をみる必要があるのでしょう?私たちは日ごろ栄養・食生活を考えるとき個別の病気との関係に目が向かいがちですがこの視点だけでは十分ではありません。本来,私たちはさまざまな病気からからだを防御できる最良の栄養条件はどのようなものなのか知ることが一番重要になるからです。“血清コレステロールが高いと動脈硬化になる”とばかり強調されますが血清コレステロール自体はからだの組織の基盤をなすとても大切な構成要素であり,主要な栄養指標です。 |
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| 図1の研究結果は,40歳では血清コレステロールが上がると総死亡リスクも上がることを示しています。これは主に心臓病リスクが上昇するためです。しかし,50歳以降では40歳で認められた関係は消失し,60歳ではまさにゼロサム,70歳では高くなるにしたがい総死亡リスクは低下していき,80歳ではより強い負の関係になります。このように大きく様変わりする主な原因は50歳以降では血清コレステロールが低くなるにしたがい、たとえ心臓病リスクは低下しても,その一方で脳卒中,がん,感染症死亡リスク,ならびに病気以外の死亡リスク(抑うつによる自殺や事故死)が高まってしまうからです。すなわち,50歳以降は,血清コレステロールが高く(230〜260mg/dLがベスト)栄養状態を良好にしたほうがさまざまな病気からからだが守られることを意味します。 |
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| この変化が高齢者の健康問題の本質です。老化による筋肉の虚弱化が歩行能力を低下させ地域で元気で暮らす能力を奪うのです。 |
| 図2は,からだの栄養状態をみるもう一つの重要指標である血清アルブミンの数値ごとに高齢者集団を4.0g/dL以下のグループ,4.0〜4.2g/dLのグループ,そして4.3g/dL以上のグループに分け8年間に歩行速度がどの程度遅くなるか比較しています(グラフの棒が高いほど遅くなること)。血清アルブミンは血液を流れるたんぱく質の6割を占め、値が高いほど栄養状態が良好なことになります。一目瞭然,血清アルブミンの高い栄養状態の良い高齢者ほど歩行速度の低下が少ないことがわかります。この関係は運動やスポーツをしていようが、いまいが、全く関係ありません。 |
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いまひとつ重要なことは,この図2は、臨床医学的には問題ない、「栄養状態良好」とされる高齢者で認められる関係であることです。すなわち高齢期は可能な限りからだの栄養状態を高める手立てが求められることになります。特に女性は,男性より圧倒的に筋力が弱いため老化に対する身支度は50歳ごろからはじめるのがベストです。
これまでお話してきましたように,私たちは一生をとおしてからだの栄養状態をその年代に適した良好な水準に保つことがとても大切なことがわかります。個別の病気の予防や管理に着目している「抑制的な食情報」にもとづいた栄養管理に関心が向かいがちですが、豊かな栄養について見直してみては如何でしょうか?
筆者らが地域の方々の協力を得て20年近くの歳月を費やし有効性を検証した“老化を遅らせ総死亡リスクを低下させる食生活指針”を表にあげました。エビオス錠で胃腸を元気にして、どうぞお試しあれ! |
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| 参考図書;熊谷修,著:老化速度を遅らせる「適齢食」(世界文化社)。 |
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| [表] <老化遅延のための食生活指針> |
| 1. |
3食のバランスをよくとり,欠食は絶対さける |
| 2. |
動物性たんぱく質を十分に摂取する |
| 3. |
魚と肉の摂取は1:1程度の割合にする |
| 4. |
肉は,さまざまな種類を摂取し,偏らないようにする |
| 5. |
油脂類の摂取が不足しないように注意する |
| 6. |
牛乳は,毎日200ml以上飲むようにする |
| 7. |
野菜は,緑黄色野菜,根野菜など豊富な種類を毎日食べる
火を通して摂取量を確保する |
| 8. |
食欲がないときはとくにおかずを先に食べごはんを残す |
| 9. |
食材の調理法や保存法を習熟する |
| 10. |
酢,香辛料,香り野菜を十分に取り入れる |
| 11. |
調味料を上手に使いおいしく食べる |
| 12. |
和風,中華,洋風とさまざまな料理を取り入れる |
| 13. |
会食の機会を豊富につくる |
| 14. |
かむ力を維持するため義歯は定期的に点検を受ける |
| 15. |
健康情報を積極的に取り入れる |
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熊谷修,他.日本公衆衛生雑誌,46,1999 |
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